全国弁連は旧統一教会に勧誘される流れを説明。教会側がコンプライアンス遵守を徹底し始めたとする2009年以降と、安倍晋三元首相の事件以降に寄せられた相談件数を報告した。 さらに全国弁連は「過大な支出をさせた信者らへの賠償」などを求める声明を採択し、「宗教法人法上の解散命令までもっていくべきだ」と主張した。 【「統一教会や宗教勧誘とは言わなかった」元信者の女性が明かす勧誘方法とは?】 説明によると、教会員は身分を隠したうえで接触し、「家系のことを学びませんか?」や「占いをする」などと言って「ビデオセンター」に連れていく。 ビデオセンターは伝道活動の最初の場とされるが、周囲に他の受講生がいない状態でビデオを視聴させ、旧統一教会の創始者である文鮮明氏の教えを注入するという。 郷路弁護士が所有する資料(2009年)では、ビデオセンターを受講した25%の人が旧統一教会員になっていたといい、「高確率で信者を生み出す『生産ライン』だ」とした。

安倍元首相の事件後に相談が急増

安倍晋三元首相が山上徹也容疑者に銃撃され死亡した事件以降、全国弁連にはメールと電話による相談が急増したという。メールで360件、電話では101件の相談があった(7月9日〜9月14日)。 それまでは月に数件程度だったが、信者本人やその家族、2世信者などから相談が増え、なかには「報道を見て騙されたと思った」と話す人もいたという。 例えば、長野県の女性(37)は2012年3月、知人から四柱推命鑑定と称してビデオセンターに連れて行かれ、これまで約1300万円献金。 滋賀県の女性(67)は2016年8月、自宅を訪問してきた人物にビデオセンターに連れて行かれ、約740万円を献金した。 全国弁連は「被害の報告はごく一部」としたうえで、被害総額は2009年3月25日以降、約7億9000万円に上ると説明している。

声明を発表

声明文では、旧統一教会は勧誘時に団体名や目的を明かさないなど、いわゆる「正体隠し伝導」が行われていると主張。 もし、団体名や目的などが明かされていれば「絶対に入信することのない」人がいるはずで、その点が勧誘された人の「信教の自由」や「自己決定権」を侵害しているとした。 旧統一教会に求めることとしては、これまで過大な支出をさせた信者らに損害を賠償することや、勧誘した人の信教や信仰選択の自由を侵害しないことなどを挙げた。

現役信者に対して弁護士が呼びかけ

集会の途中では、久保内浩嗣弁護士が旧統一教会の信者に呼びかけを行う場面があった。 久保内弁護士は「一連の報道で傷つき、悩んでいる人がいるかもしれない。大丈夫です。脱会して地獄に落ちた人はいません」と語り始めた。 そして「2世の人でも親や家庭連合から離れて立派に生活している人がいる」とし、「弁護士に相談したければ全国霊感商法対策弁護士連絡会に相談してください」と呼びかけた。 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は9月7日付の声明文で、全国弁連が出している被害件数および被害額について、「当法人を貶めるための印象操作を狙った悪質な虚偽」と主張している。

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